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天秤2.jpg

うまうまの国①

~LOGICAL THINKING~

地球に帰ってから約1年経ったある日。

 

現在、僕は電機を扱う某会社の

開発メーカーに勤めている。今日は、

僕の見せ場をアピールするときである。

その時間まであと5分のとき、肩をドンと

叩かれた。振り返ると、そばに上司が

立っていて、応援の一言を頂いた。

 

上司「加藤。今日がプレゼン本番だな。

   期待してるぞ。」

僕「は、はい、任せてください!素晴ら

  しいプレゼンを用意して参りました。」

時間は経ち、日も暮れた。

街灯が並んでいる通りを挟んで、

会社の向かいにある居酒屋で

上司と酒を飲み交わす。

上司「あーはっは!今日のプレゼンは

   気持ちの良いものであったな!

   おかげで契約に成功したぞ!

   やりおるな!」

僕「本当ですか。これまで半年間、上司

  からご指導ご鞭撻のおかげですよー。」

上司「わーはっは!まだ入社半年目で

   その実力は大したものだ!しかし、

   あのプレゼン力はどうやって身についたんだ?」

僕「そうですね……今から――

  約1年前に全日本ろう学生懇談会の

『宇宙旅行プロジェクト』

  というイベントがあって参加しました。

  その経験はこれからも変わらず、僕の人生の

  ターニングポイントとなるでしょう―――――」

◆――――――――――――――――――◆

僕はしがない大学4年生の加藤、

就活真っ只中だ

――人生23年間の暦を過ごしてきた、

これに点数をつけるなら…

50点といった具合だろうか。

人間関係について大きく挫折したことはないし、

親や学校の先生の不興も買わなかった。

この世に僕が生まれ落ちた瞬間から、

僕は常に親の敷いたレールを歩んできたのだ。

それに逆らおうとも思ったこともないし、

逆らって反発するくらいなら従った方が楽だ。

しかし、人生において僕が大きく

挫折する場面に遭遇した。

親「必ずこの会社に入りなさい。

  そうすればあなたの人生は順風満帆よ!」

大手企業面接官「あなたはこの会社に

        就いて何ができるのですか?」

 

親「なぜ、落ちたの?私の言う通りに動けば正解なのに。

  従わなかったのね。」

中小企業面接官「あなたはなぜ、

        この会社を志望したのですか?」

 

親「えっ中小企業も……………―――――

  勝手にしなさい、もう知りません。」

気が付くと、僕は実家の自分部屋に籠っていた。

電気もつけないで1ヶ月、2ヶ月。

うまくいかないで虚無感に苛まれ、

人生にやりがいを感じることができなくなった僕。

 

そしてある時、久しぶりに口を開く。

加藤「みんなの言う通りに過ごして

   きたのに…何がダメなんだ?」

ストンッ。

何かが物音がした。

何だろう?

スクリと立ち上がり、

玄関の方に向かって紙きれを手に取ると、

これはQRコードが大きく載っている紙。

でっかいQRコードしかない。

平常心でいる僕なら、

宗教団体の勧誘かと紙を丸めて

ゴミ箱に放り投げるところだろう。

しかし、なぜか自然と

スマホを手に取ってカメラを開く――――

はっ、何をやってるんだろう。

こんな馬鹿らしいQRコードだけの紙を

心のどこかでよりどころにしてるのか。

ええい、なりふり構わず、

スマホを紙にかざして読み取る。

 

すると、スマホに文字が現れる…。

「君は世界のすべてを知っているかい?」

◆――――――――――――――――――◆

話は打って変わる。

僕は、宇宙旅行プロジェクトを

体験することになったのだ。

 

最初の国、「ゴリゴリの国」で

ラテラルシンキングの力を学んだ。

クルーのみんなは身についた!

やった!とはしゃいでいる。

クルーは、国王にお礼を述べ、

そして別れを告げた。いざ、

第二の国に移動しようと船に乗り込む――――――

その時。

 

突如、船中にアラームが鳴ったのだ。

パニックGIF.gif

!!!!!!???????

なに!?なにが起きた?

 

福井クルー「これは他の国からの

      SOSアラームだ!発信国は…

    うまうまの国

      相手国はモールス信号といった

      連絡手段を用いた模様。

      只今より、解読に取り掛かります!

 

  ・・・・・ゴリゴリノクニニチキュウジンガ

  イルトノジョウホウヲニュウシュシタコチラノ

  クニデハチキュウジンノタスケガヒツヨウダ

  タダチニムカッテホシイ・・・・・

      のことです!」

村山キャプテン「承知したぞ!

        みんな、次に向かう国は――――

        『うまうまの国』だ!!

        そこに向かって――――GO!!!」

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うまうまの国に到着。

船から降りようとする――――

ん?戸が開かない。

 

なに?閉じ込められたのか―――――

と僕も含め、皆が軽くパニックに陥っている。

すると、急に船内で停電が生じ、壁に液晶画面が映る。

そこに映像が流れ、みんな画面に視線を向ける―――――

 

 

 

 

 

 

――――――はっ…

全日本ろう学生懇談会の大西会長は

うまうま警備員と接触した場面で死亡したのだ。

ガラガラーーーーーーッ。

そして船の戸は開く。

うま登場.jpg

船の前に、二足歩行で立っている馬が現れる。

はっ、この星人は

―――映像でみた馬刺れいた警備員だ。

警備員「先程は、手荒な真似を失礼いたしました。

    うまうまの国で起こった事件。

    そのあらすじを流して頂きました。」

村山キャプテン「それでは、僕たちの船に

        SOS信号を送ったのはあなたですね?」

警備員「はっ、左様でございます。地球人クルーの皆様!

    是非、私が尊敬する馬木さんを裁いてください!」

村山キャプテン「えっ、僕たちが!?」

やれやれ、面倒くさい事件に巻き込まれた…。

本当にこの宇宙旅行で僕は変われるのか…。

おお、警備員に導かれるままに動いていたら、

何かの建物が目の前に。ここに入るようだ。

 

うん?ここは?

そう思い、右方に建物の看板が貼っていて

その文字を読み上げる。

僕「……うまうま裁判所。」

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